癌の診断法
動物医療における癌の診断検査
今日、動物医療においても癌の診断検査には多くの方法が用いられるようになっています。その中でも、最も重要と考えられているのが生検(組織病理検査)です。
生検とは
生検とは病変の組織(細胞)を採取して、それを顕微鏡で調べ、その組織学的形態像から病気の診断を行う方法です。腫瘍の種類だけではなく、さらにそこから悪性度や浸潤(癌細胞が、発生した場所で増え続けていくとともに、周りの正常な組織に直接広がっていくこと)の有無と程度、手術マージン(手術で摘出した組織の縁の部分)の評価など、治療や予後に関わる多くの情報を得ることができます。
また現在では判別が困難な腫瘍に対しても、その生検組織を特殊な液体で染色を行う方法や、免疫反応を利用した方法、さらには分子診断検査(遺伝子レベルで判断)により、特定の腫瘍細胞を検出して確定診断が行われるようになっています。組織病理検査をもとにした様々な新しい診断検査が用いられ、その必要性はさらに増すと考えられます。
画像検査も癌の診断には不可欠
次に画像検査も癌の診断には不可欠なものになっています。レントゲン検査に加え、特に超音波検査とコンピュータ断層画像検査(CT)が重要性が増しています。
超音波検査は心臓や、腹部内臓器、リンパ節の腫瘍の発生と転移の評価に、CTは腫瘍の大きさ測定や浸潤の状態、また癌のある動物での肺転移の検出に非常に有用とされています。
ある研究によりますと、CTで検出した肺の癌病変はレントゲン検査では、約10%しか検出することが出来なかったとあります。さらにCTの感度は非常に優れており、肺の癌病変についてはレントゲンで直径7〜9mmに対してCTでは直径1mmとの報告があります。
癌の診断法
癌の診断法は、その種類の特定だけにではなく、治療や予後に関わる多くの有用な情報をもたらすものでなければなりません。
残念ながら人に行われる癌の診断法が、必ずしも動物に適応できるとは限りません。また動物に利用可能な診断法であっても、信頼性が低いものもあります。
癌医療を行うにあたって、適切な検査を選択し、確実な診断を下すことが治療の第一歩になるのです。
病理組織検査について
当院はアメリカにあるコロラド州立大学Veterinary Diagnostic Laboratories の病理専門医による診断を依頼しております。
コロラド州立大学にはセンターがあり、アメリカ国内だけではなく、世界中から最先端の治療を求めて患者が来院されます。多くの経験がある病理専門医、腫瘍専門医の意見を聞きながら、診断を行なっております。
※病理診断には2週間前後の時間がかかります。上記の通り、より正確な診断を行うためにご理解の程お願い申し上げます。